会社が倒産したため給与が未払いになった場合
会社が倒産したせいで、賃金が未払いになるケースがあります。
この場合、国の制度として、未払賃金の立替払をしてくれるものがあります。「未払賃金立替払制度」というそのままの名前の制度です。
まずやること
労働基準監督署(以下 労基署)へ相談に行ってください。
下に、「未払賃金立替払制度」を利用できる要件を書いています。
この中に会社が倒産したことの申請や認定を受けることが要件として書いていますが、気にせずにまずは労基署に相談してみましょう。
立替払いの対象となる期間が決まっているので、早めに相談するのがベストです。
要件
立替払いを受けるためには、使用者(会社)と労働者の双方にそれぞれ要件があり、要件を満たす必要があります。
使用者の要件
- 1年以上事業活動を行っていたこと
- 倒産したこと
倒産には2つの場合があり、倒産についての認定や証明が必要になります
- 法律上の倒産
- 事実上の倒産
倒産の認定や証明
法律上の倒産:
労基署に備え付けの用紙に、破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらいます。
事実上の倒産:
労基署で認定の申請を行います。
法律上の倒産と事実上の倒産
法律上の倒産
- 破産
- 特別清算
- 民事再生
- 会社更生
事実上の倒産
- 事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない場合
- 中小企業のみが対象
労働者の要件
倒産について裁判所への申立てや労基署への認定申請が行われた日の6か月前の日から2年間に退職した人が対象になります。
裁判所への申立てや労基署への認定申請の日を基準日Aと考えると、「Aより6か月前までの間と、Aから1年6か月後までの間」に退職した人ということです。
対象となる賃金と金額
立替払いの対象となるもの
退職した日の6か月前から立替払の請求日の前日までに支払日のある次のものです。
- 毎月の給与
- 退職金
当然未払いのもののみです。
対象とならないもの
- 賞与(ボーナス)
- 未払賃金の総額が2万円未満の場合
支払われる金額
立替金額は未払賃金の額の8割です。
年齢に応じた上限があります。
年齢 未払賃金の総額(万円) 立替限度額(8割)(万円) 45歳以上 370 296 30歳以上45歳未満 220 176 30歳未満 110 88
返済
立替と名前がついていますが、支払われた賃金については労働者には返還義務はなく、支払った賃金の債権を代位取得した独立行政法人労働者健康安全機構が、支払責任者である使用者に求償することで回収します。