遅刻すると半日年休を取得したことになる

遅刻しても賃金カットはされないのですが、自動的に年次有給休暇を半日分使用したことにされます。 実際に休んだわけでもないのに有休が減ってしまうのは、おかしくないですか。

問題があります

実際には半日遅刻をしたわけではないのに、半日分の年次有給休暇(以下年休)を取ったと扱うのことには、問題があります。

 

また、原則として、年休は、労働者本人が取得する日を使用者に申し出て初めて取得することができ、使用者が勝手に取得させることはできませんので、その点にも問題があります。例外として、使用者が一方的に年休取得日を割り振ってしまう「計画年休」という制度がありますが、今回のケースは計画年休には当てはまりません。

 

年休の趣旨としても不適切

年休の趣旨・目的は、休暇を取ることにより「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図る」ことです。本来の年休の趣旨からも、遅刻の穴埋めに使用するのは適切ではありません。

 

賃金の未払いが発生している可能性もある

今回のケースの場合、賃金の未払いが発生している可能性もあります。

 

例えば8:00-17:00(休憩12:00-13:00)の会社で、1時間遅刻して半日年休を使用した場合で考えてみます。

 

9:00-12:00に実際に働いた時間と半日の年休(8:00-12:00)の時間が重複します。
この9:00-12:00分については、重複している部分に関しては、重複した分の賃金の支払が必要になります。

 

年休の分の賃金と実際に労働した分の賃金です。
月給制の場合は、実際に働いた時間分の賃金を上乗せで払う必要がありますし、時給制の場合には年休消化時間分の賃金と実際に働いた時間分の賃金を支払う必要があります。