明示された労働条件が事実と異なる場合の労働契約の即時解除

1年間の雇用契約で働き始めました。しかし、契約した金額より安い給与しか支払われないため辞めようとしたところ、「契約期間中に退職することはできない」と言われました。

契約期間がある雇用契約では途中で退職することはできません。しかし、契約上の労働条件と事実とが異なっている場合には退職できます。

 

労働契約の解除

明示された労働条件が事実と相違している場合は、労働契約の即時解除ができます。
期間の定めのある雇用契約の場合は、やむを得ない事由がない限り、原則として途中で契約の解除はできません。
しかし、今回のケースの場合には、やむを得ない事由にあたり即時解除(退職)が可能です。

 

労働契約の解除以外の解決方法

採用された際に明示された労働条件が、労働契約の内容となります。
明示された労働条件と実際の労働条件とが異なる場合には、明示されたとおりの労働条件を履行するように求めることが可能です。

 

今回のケースのような場合

今回のケースのような場合には次のような方法が考えられます。
1.会社と話し合って、明示された労働条件どおりに直してもらう
2.契約を解除する(退職する)

 

雇用契約書等で労働条件を再度確認し、まず会社と話し合ってみます。
そして、話し合っても解決できないときに、明示された労働条件と実態が異なっているので辞めたいということを伝えたうえで、契約を解除するという2つの段階を踏むのが一つの方法です。

 

もちろん、1つ目の過程を飛び越えて、いきなり契約の解除をする(退職をする)ことも可能です。

 

労働契約の解除権の行使

明示された労働条件が実態と異なっている場合の労働契約の解除権の行使は、明示された労働条件と実態が違うことを知ってから、なるべく早く行使する必要があります。
なぜなら、明示された労働条件と実態が異なっていることを知ってから長期に渡って、その労働条件(実態の労働条件)のまま異議を申し出ずに労働している場合は、その実態の労働条件を認めたものとみなされること可能性があるからです。
簡単に書くと、「労働条件が違ったことを理由に退職するなら、違ったことを知ってから早く退職してね。早く退職しないと、実際に働いている労働条件が正式な契約内容になっちゃうよ。」ということです。